【レビュー】水月雨(MOONDROP)竹III – CHU3:正統進化を遂げた新定番!スペック・音質・前作CHU IIとの違いを徹底解説

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水月雨(MOONDROP)のエントリー向け定番シリーズ最新作となる「竹III – CHU3」は、2026年8月27日に国内発売されたカナル型有線イヤホンです。オーディオアワード「VGP2026 SUMMER」において「金賞」および「コスパ大賞」をW受賞し、前世代の手頃な価格帯を維持した税込4,950円という抜群のコストパフォーマンスで大きな話題を集めています。

前作「竹-Chu 2」の優れた装着感やリケーブル対応といった利便性をしっかりと受け継ぎながら、新設計の振動板や大口径真鍮ノズル、最新の測定基準「B&K 5128」を採用した音響設計など、内部構造はフルモデルチェンジ級の刷新が図られています。

本記事では、水月雨 竹III(CHU3)の実機スペック、前作CHU IIや同価格帯の競合モデルとの比較、帯域別の詳細な音質レビュー、おすすめのイヤーピース・リケーブルカスタマイズ、そして購入前に知っておくべき注意点まで徹底解説します。

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水月雨(MOONDROP)竹III – CHU3の概要と基本スペック

水月雨(MOONDROP)の「竹(CHU)」シリーズは、数千円クラスのエントリー市場において「ハイクオリティな音響設計を手軽に楽しむ」というトレンドを決定づけた伝説的シリーズです。初代CHUの固定ケーブル仕様から、CHU 2での0.78mm 2Pinリケーブル対応を経て、第3世代となる本機「竹III – CHU3」では音作りの方向性と音響パーツがさらに高い次元へと磨き上げられました。

詳細スペック一覧

項目 水月雨(MOONDROP)竹III – CHU3 仕様
ドライバー構成 10mm高性能ダイナミックドライバー(新設計Al-Mg合金ドーム複合振動板)
磁気回路 / ボイスコイル N52ネオジムマグネット(磁束密度1.5T超) / 軽量CCAWボイスコイル
音響ノズル 大口径高精度CNC切削真鍮製独立ノズル(着脱・交換可能フィルター構造)
再生周波数帯域 12Hz – 50,000Hz(有効周波数帯域:20Hz – 20,000Hz IEC60318-4)
非線形歪み率(THD) 全帯域 0.05%以下(@1kHz / 94dB)
インピーダンス / 感度 18Ω±15%(@1kHz) / 119dB/Vrms(@1kHz)
コネクタ / プラグ 0.78mm 2Pin(窪みなしフラット) / 3.5mm金メッキステレオミニ(L字プラグ)
筐体素材 / カラー 高剛性亜鉛合金ダイキャスト(特殊耐食コーティング) / ブラック、シルバー
実売価格 4,950円(税込)

前作CHU IIおよびライバル中華イヤホンとのスペック徹底比較

5,000円前後のエントリー価格帯で激しい競争を繰り広げる人気モデルとスペック・特徴を比較しました。

機種名 竹III – CHU3 竹-Chu 2(前作) 7Hz Zero 2 TANGZU WAN’ER S.G
実売価格(税込) 4,950円 約4,500円 約3,800円 約3,300円
振動板素材 新世代Al-Mg合金複合ドーム Al-Mg合金ドーム 10mm PU+メタル複合 10mm PET複合
ノズル構造 大口径CNC切削真鍮 真鍮製ネジ式 樹脂一体型 樹脂一体型
非線形歪み率 全帯域 0.05%以下 0.05%以下(特定帯域) 約0.2%以下 約0.5%以下
音質の方向性 温かみ・滑らかな美音・高密度中低域 シャープ・明瞭な高域・スピード感 バランス型・量感ある低音 ウォーム・艶やかなボーカル重視
コネクタ 0.78mm 2Pin 0.78mm 2Pin 0.78mm 2Pin 0.78mm 2Pin(QDCタイプ)

進化した設計ポイントとハードウェアの魅力

竹III – CHU3が同価格帯の他社製イヤホンと一線を画している理由は、5,000円前後の製品とは思えない贅沢な音響エンジニアリングにあります。

新設計Al-Mg合金ドーム複合振動板と低歪み設計

本機の心臓部である10mmダイナミックドライバーには、上位機種でも採用例の多い「Al-Mg(アルミニウム・マグネシウム)合金ドーム」を採用。今作では製造プロセスが大幅に刷新され、剛性と軽量性を極限まで高めたドーム部に、特性の異なる2種類の特殊ポリマー素材を組み合わせた柔軟な複合エッジを搭載しています。

これにより、振動板の分割振動を抑制し、全帯域においてメーカー公称で「0.05%以下」という驚異的な非線形歪み率を達成。音が混濁しやすい複雑なオーケストラ音源やロックのサビでも、一つひとつの楽器の輪郭が濁らずクリアに聴き取れる圧倒的な静寂感と分離感を実現しています。

大口径高精度CNC切削真鍮ノズルの採用

音響ノズルには、高精度CNC切削加工によって成形された独立真鍮パーツが奢られています。樹脂ノズルでは起こりやすい成形誤差による左右の音質差を排除し、ノズル内部の音響容積を精密にコントロール。真鍮ならではの適度なダンピング特性により、高音域の有害な定在波の発生を抑え、耳に突き刺さらないシルキーで自然な高域の減衰を実現しています。

B&K 5128次世代測定システムによるサウンドチューニング

水月雨は長年「VDSF Target Response」と呼ばれる独自のターゲットカーブに基づいて音作りを行ってきましたが、本作では最新の人体頭部音響測定システム「B&K 5128(Type 5128 HATS)」を用いたターゲットカーブを基準にチューニングが施されています。人間の外耳道および耳介の音響特性を従来のIEC60318-4(711カプラー)よりも極めて正確にシミュレートしたことで、耳に入った瞬間の違和感や特定帯域のピーク感が大幅に解消されています。

亜鉛合金ダイキャスト製ハウジングと優れたエルゴノミクス

ハウジングは重量感と剛性を兼ね備えた亜鉛合金ダイキャスト製。表面には耐摩耗性と耐食性を高める特殊コーティングが施されており、手触りは非常に滑らかです。デザイン面では、竹(CHU)シリーズのアイデンティティである優美な「竹の葉」のモチーフが上品にあしらわれています。耳の窪み(耳甲介腔)にすっぽりと収まるビーンズ型の小型シェルは、耳の小さな方でも圧迫感なく快適に装着できます。

竹III – CHU3の音質レビュー:前作からの劇的な変化

竹IIIのサウンドを一言で表すなら、「極めて滑らかで密度の高い、上質な美音系ナチュラルサウンド」です。前作CHU IIの持つハキハキとしたドンシャリ傾向や高域のエッジ感とは明確に性格が異なります。

低音域:ウォームで深みのあるタイトなベース

低音域は、ミッドベースを中心に適度な厚みと温かみを持たせた鳴り方です。重低音(サブベース)の沈み込みもしっかりと確保されていますが、量感で無理に押し出すような下品な低音ではありません。打点の立ち上がりは角が丸められていて非常に耳当たりが良く、深く沈み込んだ後はボワつかずにタイトに収束します。ベースラインのうねりやバスドラムの胴鳴りが心地よく、楽曲全体の土台を暖かく支えてくれます。

中音域:水月雨伝統の透明感と豊かな肉声感の両立

中音域は本機最大のハイライトです。水月雨が得意とする「透き通るようなボーカルのクリアさ」を保ちつつ、前作CHU IIでやや見られたボーカルの薄さや前傾感が完璧に改善されました。声の線が細くならず、適度な肉声感と艶が加わったことで、女性ボーカルのハイトーンはもちろん、男性ボーカルの太く落ち着いた声色も魅力的に描き出します。サ行の刺さりやブレスの耳障りなノイズが徹底的に抑えられており、長時間のリスニングでも全く聴き疲れしません。

高音域:刺激感を排除したシルキーで伸びやかな表現

高音域は、金属的な鋭さやシャリつき感をきれいに削ぎ落とした、非常に耳馴染みの良い質感です。シンバルやハイハットのアタックはしっかりと刻みつつも、耳に刺さる帯域に不快なピークが一切ありません。Al-Mg合金ドームによる優れた高域特性のおかげで、ロールオフが不自然に籠もることもなく、ハイレゾ音源の持つ微細な空気感や空間の余韻がふわりと広がります。

音場・定位感:歪みの少なさがもたらす正確なステレオイメージ

音場自体は標準的な広さですが、歪み率0.05%以下という驚異的なク音響純度のおかげで、音像の見通しが極めてクリアです。左右のセパレーションが明瞭で、ボーカルが頭内中央にスッと立ち上がり、左右斜め後ろから鳴るアコースティックギターやストリングスの距離感が正確に把握できます。

前作「竹-Chu 2」との聴き比べ:何がどう変わったのか?

前作CHU IIと比較した場合の違いは以下の通りです:

  • 音色の温度感:CHU IIはクール&クリスプ(寒色系・明瞭度重視)だったのに対し、竹IIIはナチュラル&ウォーム(やや暖色寄り・美音系)。
  • 高音の刺激感:CHU IIでは音源によってやや高域のギラつきやサ行の鋭さを感じることがありましたが、竹IIIでは歪み低減と新チューニングにより完璧に角が取れています。
  • ボーカルの厚み:竹IIIの方が中域に密度があり、アコースティック音源やジャズ、J-POPの歌声がより生々しく豊かに響きます。

竹IIIの実力を最大限に引き出すおすすめカスタマイズ

竹III – CHU3は標準構成のままでも極めて高い完成度を誇りますが、汎用規格である「0.78mm 2Pinリケーブル」と「標準的なノズル径」を備えているため、アクセサリーの換装によって音質の変化を存分に楽しむことができます。

水月雨 竹III CHU3のおすすめイヤーピース換装とリケーブルカスタマイズ

イヤーピース換装:密閉度とボーカルの質感を高める

本機はノズルが真鍮製でやや太めのため、しっかりとしたホールド力と音道の広いイヤーピースを選ぶのがベストです。

  • SpinFit CP100+ / W1:特許取得の3Dクッション構造により、耳道に合わせてノズルが曲がって密着。竹IIIの持つ透明感と高域の抜け感を損なうことなく、極上のフィット感を提供します。
  • Final TYPE E:低域の量感と芯をもう少し強めたい方におすすめ。耳の奥まで深くフィットし、密閉度が劇的に向上するため、サブベースの重低音のパンチ力が増します。
  • AZLA SednaEarfit MAX / ORIGIN:医療用シリコン採用で耳への刺激が極めて少なく、テーパード構造の音道により音場が一段と広がります。ボーカルの瑞々しさを最大限に引き出したい場合に最適です。

リケーブルによる音質向上とバランス接続(4.4mm換装)

付属のケーブルは取り回しが良く使い勝手は良好ですが、線材としてはベーシックな無酸素銅(OFC)です。竹IIIのドライバーポテンシャルをさらに解放したい場合はリケーブルが有効です。

  • 高純度単結晶銅(OCC)ケーブル:中低音の量感と解像度をさらに深めたい場合におすすめです。低音の沈み込みがより明瞭になり、ボーカルの艶が増します。
  • 4.4mmバランス接続への換装:DAP(デジタルオーディオプレーヤー)やポータブルDACアンプ(例:MOONDROP DAWN PROやFIIO製品など)をお持ちであれば、4.4mmバランスケーブルへの変更が特におすすめです。左右のクロストークが劇的に低減され、音場の広がりと楽器の定位感が一段上のクラスへと昇華します。

知っておくべき注意点とトラブルシューティング

竹III – CHU3を快適に、そして長く愛用するために知っておくべきポイントをまとめました。

「低音が出ない・音がスカスカに感じる」ときの対処法

カナル型イヤホン全般に言えることですが、イヤーピースのサイズが合っておらず耳道との隙間が生じていると、低音域が完全に抜けてしまい高域ばかりが強調されたシャリついた音になってしまいます。
本機を装着する際は、少し口を開けて耳たぶを斜め後ろに引っ張りながら、ノズルを耳道にしっかりと押し込み、密閉(シーリング)を確保してください。付属のイヤーピースで密閉が取れない場合は、ワンサイズ大きめのピースを試すか、前述のサードパーティ製イヤーピースへの換装を推奨します。

0.78mm 2Pinの挿入向き・極性の注意点

リケーブルを行う際、0.78mm 2Pin端子には「極性(プラス・マイナス)」が存在します。ピンの向きを逆に挿してしまうと音が逆相になり、中央の定位が中抜けして不自然な音響空間になってしまいます。
通常、ケーブル側のモールドにある「突起」や「青・赤のドットマーク」がイヤホンの前側(または上側)を向くように揃えて真っ直ぐに差し込んでください。また、斜めに力を入れるとピン折れの原因となるため注意が必要です。

真鍮ノズルと音響フィルターのメンテナンス

ノズルが真鍮製のため、長期間使用していると湿気や皮脂によってわずかな変色が生じる場合がありますが、音質上の問題はありません。ただし、先端の音響フィルターに耳垢や埃が詰まると左右の音量バランスが崩れる原因になります。定期的にブロアーで埃を飛ばすか、乾いた柔らかいクロスでお手入れを行いましょう。

まとめ:5,000円以下で手に入る傑作リファレンス有線イヤホン

ここが良い点(メリット)
  • 5,000円以下とは思えない低歪み(0.05%以下)と高密度な美音
  • 前作より滑らかで刺さりのない、聴き疲れしないチューニング
  • 厚みと艶のある魅力的なボーカル表現
  • 亜鉛合金シェルと真鍮ノズルによる高級感あるビルドクオリティ
  • 0.78mm 2Pinリケーブル対応でカスタマイズ性が高い
惜しい点・気をつける点(デメリット)
  • 金属筐体のため、冬場の装着時に少し冷たく感じることがある
  • 前作CHU IIのシャープで鋭い刺激感を求めている人にはやや大人しく感じる場合がある
  • 密閉が取れていないと本来の豊かな低音が出にくい

水月雨(MOONDROP)竹III – CHU3は、単なる「前作のマイナーチェンジ」にとどまらず、Al-Mg合金複合振動板の刷新や真鍮ノズル、最新のB&K 5128測定基準に基づく高度なサウンドエンジニアリングによって、エントリー有線イヤホンの基準を一段引き上げた傑作モデルです。

刺激感を抑えた滑らかで心地よい高音、厚みと瑞々しさを兼ね備えたボーカル、そして量感と引き締まりのバランスが良い低音は、長時間の音楽鑑賞や動画視聴、テレワークでのリスニングにも最適です。「手頃な予算で本当に高音質な有線イヤホンを試してみたい」「耳が疲れない美しい音でボーカル曲を堪能したい」というすべての方に、自信を持っておすすめできる一台です。

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